大判例

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名古屋高等裁判所金沢支部 昭和30年(う)353号 判決

原判決挙示の証拠を綜合すれば、原判示第一乃至第三の各事実を肯認するに十分である。被告人は「右事実中第一及び第三の所為は、いずれも未遂である」旨主張し、また証拠に依れば、原判示第一、第三の場合に於ては、被告人は、賍品を被害者に取返された上、その都度交番に突き出されていることを認め得ない訳でないけれども、しかしながら、原審援用の資料を精査すれば、原判示第一の場合に於ては、被告人は、原判示新井ハル方納屋の内部に積んであつた同人所有の木炭二俵を納屋外に持出し、これを表道路迄運搬すべく、二歩程歩行した際、被害者に発見され木炭を其の場に投棄した上、逃走しようと図つたが、追跡して来た数名の者に捕えられたものであり、原判示第三の場合に於ては、原判示大坪竹次郎方倉庫の内部に積んであつた同人所有の木炭二俵を倉庫外に持出し、倉庫の前にこれを置き、倉庫の戸を元通り閉鎖しようとした際、被害者に発見され、その場で捕えられ交番に連行されたものであることをそれぞれ認め得べく、以上の認定事実に依れば、被告人の叙上の各所為は、いずれも窃盗犯人が、財物に対する他人の占有を排除し、これを自己の支配の下に移したものとして、それぞれ窃盗の既遂をもつて論ずべきであると考えられるから、原判決は事実を誤認したものでなく、被告人の主張はその理由がない。

(裁判長判事 成智寿朗 判事 沢田哲夫 判事 吉田彰)

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